無邪気に責任に応えていく

Reference

1 「SEX AND THE CITY」の最新シーズン「AND JUST LIKE THAT」(UNXTで配信中)第3話、チェ・ディアス*のディスクールより。
「最近はみんなこんな感じじゃない?彼(he)彼女(she)単数形の彼ら(they)どれ?確信しているより混乱している方がいい。確信してたら何も変わらない。でも誰だって何かを変えなきゃいけない」
友人の言葉を借りるなら「SEXとCITYの記号が変わった」最新章。第1話が急展開すぎる、サマンサ不在など不満な声も多いようだけど、「当時」を当事者としてというよりも、fashion的に見ていたので、配役やストーリーがめっちゃ現代的なのも「old-fashion」に安住してなくていいと思ったし、タイトルの通りAND JUST LIKE THAT(あっけなく)流れていく人生観が沁みる。
(キャリーのクローゼットへの憧れだけは変わらないし、後半のストーリーに隣人として登場するリゼット(カタリーナ・テネンバウムKaterina Tannenbaum)のスタイルがかなりタイプ♡)

* チェ・ディアス(サラ・ラミレス)は ノン・バイナリーのキャラクターで、キャリー( サラ・ジェシカ・パーカー)が出演するPODCASTのホストを務めている。

2 生物倫理学者/作家Jessica Pierceの論考 “The posthuman dog” によると、 犬は、地球上に約8頭生息すると推計され、そのうち完全にペットとして飼われている犬の割合はたったの1/4。人間がいなくなった(posthuman)場合、犬の形態や表情(と人間が感じているもの)、生態がどう変化するかについて考察されている。

3 絶滅したといわれるニホンオオカミの存在を信じて、憑りつかれたように狼狩りを行う孤独な男を描いた『東の狼』(2016)を見てから、ニホンオオカミと日本の歴史が気になっている。現在公開中の『リング・ワンダリング』(2021)もニホンオオカミを題材にした幻想譚ということで気になっている。イタリアの小さな村を舞台に、荘園制度の廃止を隠蔽して労働搾取したという実際にあった詐欺事件から着想を得た作品『幸福なラザロ』(2018)でも狼が重要な記号となっていた。自由とは何か、幸福とは何か…Amazonでレンタル視聴も可能みたい。

4 photocopieuは パリで経験を積んだ日本人デザイナーの竹内美彩さんのブランド 。 2019AWのデビューから毎シーズンチェックしています。 Entre chien et loup は2022SSのコレクション・テーマとして掲げられていたことで初めて知ったフレーズ。シグネチャー・アイテムのひとつであるデニムを今年はひとつワードローブに加えたいな。

5  責任と欲望を生み出すために 國分功一郎×東浩紀「哲学にとって愚かさとはなにか──原子力と中動態をめぐって」イベントレポート(標準語ver.) (閲覧日: 2022/2/3)

6 「哲学者ハンナ・アレントはそれぞれの人間が自分なりの仕方で応答する可能性を人間の「複数性」と呼び、それを人間の条件の一つに数えた。アレントの言う複数性とは単に個体数が二つ以上であるという意味ではない。たとえばある生物の個体数がどれほど多かろうとも、同じ刺激に対して同じ反応しか返さないのであれば、そこにはアレントの言う複数性は存在しない。」(國分功一郎 、熊谷晋一郎 『〈責任〉の生成-中動態と当事者研究』、新曜社、2020年、p.5)

7  アートの世界では、NFTに匹敵する勢いで「ケア」が、最重要キーワードのひとつとなっている。気になる方は 『美術手帖』2022年2月号 特集「ケアの思想とアート」で。また、「ケア」の文脈で、映画『ドライブ・マイ・カー』も必見。普段、邦画は見ないという人も、ハルキストではないという人も是非。( 戯曲仕立てでも芝居臭さを感じないさせないのは脚本の素晴らしい仕事と、クレジットの取材協力にチェルフィッチュとあって納得した)

8 ハンナ・アレント『責任と判断』、ちくま学芸文庫、2016年、p.48

9 naïve realism :素朴実在論。われわれが知覚し経験するとおりにものが在り、ものの実在性は知覚し経験するとおりに把握されているとみなすこと。

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