The joy of Textile.

ファッションと建築が好きでした。同じくらい。

だから、繋がっているようで、実は全然繋がっていないような現状に葛藤しつつ過ごした長い長いモラトリアム。そんな時googleまでもがテキスタイルのプロジェクトを始めているではないですか(PROJECT JACQUARD)。修論のテーマがなかなか具体的に決まらず、とりあえず動かなきゃ…と昨年末訪れたオランダで何がやりたいのか確信しました。
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(Kunthal,Rotterdam)
ロッテルダムにある現代美術館KUNSTHAL(オランダの設計事務所OMAによる設計)では、テキスタイル/ランドスケープデザインの事務所であるINSIDE OUTSIDEと恊働して作られた、カスタムメイドのテキスタイルが使われています。
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(Filter coffee,Amsterdam)
地元民に愛される何とないカフェでも、テキスタイルが使われている。恐らくこれは、寒い外気から室内の暖を保つ風除の目的で作られているのですが、狭いからこそ、貧相になってしまう設えで区切ってしまうのではなく、開閉できるテキスタイルを使おうというアイディア。フィッティングルームのカーテンみたいで、ここを通ると変身できそう!?なささやかな楽しみも演出してくれます。

オランダでは、テキスタイルがもっと身近に、そして「生き生きと」使われているように感じて思ったのです。
テキスタイルも、「アイデンティティ」があるものとしてもっと使われるべきだ(!)
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オランダ探訪の1番の目的はここに行くことでした。TEXTIEL MUSEUM。
Amsterdamから電車で3時間以上、この日は滞在中最も天気が悪く、乗り換えのUtrechtで何度も電車が無くなる(そういうことは現地ではよくあるらしく、しかも階段から転げ落ちてもう散々でした)ハプニングに見舞われながら、何とか到着。

このテキスタイル・ミュージアムのある町Tilburgは、オランダ南部の小さな町。位置的にはほぼベルギー。そう、ファッションの聖地として知る人ぞ知るアントワープもお近くなのです。
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テキスタイル・ミュージアムの特徴は、実際テキスタイルを作っている工場みたいなスペースを自由に観覧できて、テキスタイルが生み出される瞬間を間近で見ながら見学できること。(もちろん、アイディアの宝庫である開発室はKEEP OUT)
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工場のおじちゃん的なエンジニアのおじさんと一緒に試作を繰り返しながら、数多くのテキスタイル・デザイナーがここから新しいテキスタイルを生み出しています。
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私が行った時は、ニッティングマシンも稼働していました。なんか本当に「産み落とされている」って感じですよね。
使用されている機械はドイツ製のSTROLL。日本の高い技術力(Uniqlo Uで話題の島精機のホールガーメントなど)は言わずもがな、ドイツもニッティングマシンが強い印象があります。
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染織の工程は見れませんでしたが、普段のままの状態が展示されており、どうやって染めていくか説明してくれました。
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他の工程とは雰囲気が違い、ここだけ実験室のような雰囲気です。
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試作のスワッチも展示してあり、というよりもそこらへんに転がっているという感じで実際触ることもできたのですが、見たことのないテクスチャのものばかり!まさに「テキスタイルの喜び」を感じずにはいられません。
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そして、ここでは2つの展覧会が開催されていたのですが、特にこの展覧会はかなり修論のヒントを与えてくれました。

“Cultural Journey with Textile”

バッグに(上の写真の左。3Dプリンターで制作。)このミュージアムで作られたテキスタイルと食器などのプロダクトを詰めて、色んな場所を巡ったそう。テキスタイルもプロダクトも全てダッチ・デザインが詰まっていて、それを広げたテーブルスケープと言ったら、たった小さなテーブル1つでも、その空間が全て変わってしまうほどのインパクト!

「このミュージアムで作られたテキスタイルの良さを知ってもらいたい」というのが元々のコンセプトで始まったプロジェクトなのだそうですが、そういったプロモーションの観点抜きに、テキスタイルの可能性を魅せてくれるプロジェクトでした。
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様々な表情や機能を生み出すテキスタイルも、元々はこんなただの糸:ファイバーからできているんですよね。
ファイバーの可能性と、テキスタイルの愉しみ。これからも追究していきたいテーマです。

※こちらは2016年2月27日にNUMERO TOKYO blogに投稿した記事を一部編集しています。

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