CHANEL ‘RED’ by Lucia Pica

好きなもの、憧れるものと、身につけるものが必ずしも自分と一直線に結ばれるとは限らない。

それが素晴らしいcreationであればあるほど、「似合う」かどうか、一体になれるのかどうか、とても慎重に考えてしまうから。

一回「似合わない」と思ったものは、避けて通ってしまいがちだけど、似合わなかったはずのものが、ある日突然しっくり来たりすることもある。
流行と同じように自分も常に変わっているから。だから、ファッションは面白い。
憧れに近づけた気がする瞬間、新しい自分に出会えた気がする瞬間。

久しぶりに最近そんな気分にさせてくれたのがCHANELのCollection No1。
新クリエイティブ・ディレクターに就任したルチア・ピカのファーストコレクションです。(NUMEROの記事はこちらから)

ファッションではクリエイティブ・ディレクター交代劇はもはや日常茶飯事?になりつつありますが、ビューティーでもこんな衝撃を受けるとは。

オーセンティックな印象が強かったCHANELのボーテラインですが、ルチアのCHANELは極めて現代的。
カール・ラガーフェルドもミューズとして愛するクリステン・スチュワートを起用したメインビジュアルからは、伝統と革新を見事に融合させるKarlのCHANELのイメージと一貫する、少女の危うさと強さ、そんな二面性をもつ現代的な女性像に向けたメッセージが伝わって来ます。

ルチアが最初に選んだテーマは「赤」。
CHANELで重要とされる色*の1つである「赤」の再解釈と再構築。(*黒、白、赤、ベージュ、金の5色)
ムードボードからは、そんな新しいCHANELの「赤」が生まれるリサーチの過程を見ることができます。
 

 
コスメほど、実際に試してみないとその色や質感は分からないものはありませんが、今回のコレクションは特に、グロスやパールといった分かりやすいテクスチャが抑えられているため、試してみると、その見た目と使用感とのギャップに驚くはず。

4色のアイシャドウ、レ・キャトル・オンブルの新色は、マットで落ち着いた色味のパウダーですが、薄い色から重ねて行き、最後の「赤」をのせた瞬間・・・肌の上で赤が弾けるように、一気に華やかな表情と気分にさせてくれる。クリアな質感のネイルも指先にのった瞬間、その発色には思わずハッしてしまうのです。
160903_chanel_4
「気分」でいい。「一瞬」でいい。
そんなニュアンスに喜びを感じられるのが女性の強さであり、儚さでもある。

女性としての感性が揺さぶられるルチアの「赤」。
新生CHANELの赤を、ぜひ一度身に纏ってみて。

RE ROUGE COLLECTION NO1

※こちらは、2016年9月3日に投稿したNUMERO TOKYO Blogの記事です。

コメントを残す

*

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。